私が初めて「データベース」というものに出会ったのは、まだMS-DOSの時代でした。「桐」というデータベースソフトをなぜか持っていたのですが、購入した経緯も、何に使おうとしたのかも、今となっては全く思い出せません。
当時、今のように親切な解説動画などあるはずもなく、周りにパソコンを使っている人すらほとんどいない状況。結局、「桐」を使いこなすことはできず、そのままお蔵入りとなってしまいました。これが、私とデータベースの最初の、そして苦い出会いです。
Windowsが普及し、Accessを使い始めた頃、私の仕事の仕方は劇的に変わりました。給料計算や売上管理などに独学でAccessを取り入れていったのです。当時はまだ、Excelでデータ数が1000件を超えたらデータベースを使うべきと言われていた時代。私はMOS(現:Microsoft Office Specialist)の資格も取得しました。
金融関係の会社に派遣社員として勤務していた時、Accessのスキルが思わぬ強みになりました。その会社では「Microsoft Access」を使える人材が求められていたのですが、派遣会社に登録しているスタッフの中でAccessを扱えるのは私だけだったのです。おかげで、かなり良い待遇で働かせてもらいました。
数名の派遣スタッフでExcelへのデータ入力を依頼された際、私がAccessで簡単な入力画面を作成したところ、作業時間を大幅に短縮できたことがありました。その時「仕事がおもしろい!」と目を輝かせて言ったのは、Accessを知らない女性のスタッフたちでした。彼女たちは子育て中で残業ができません。これまで煩雑で時間のかかる単純作業だと思っていたデータ入力が、Accessの画面を使うことで効率化され、残業から開放されました。
しかし、Access 2003から2007へのアップデートは、Accessをベースにシステム開発をしていた人たちにとって悪夢でした。まるで別のアプリケーションになったかのような変更だった上、間を置かずに2010へのアップデートが追い打ちをかけたのです。当時ユーザーに過ぎなかった私でさえ、複数の会社でシステム会社とクライアントの信頼関係が崩れていくのを目の当たりにしました。
この頃から、私もAccessに嫌気がさし始めました。しかし、Accessからの移行先も見当たらず、思い切ってプログラミングを勉強してみようと、RubyやPython、GASをかじってみましたが、どうもしっくりきません。その後も、自分に合うデータベースをずっと探し続けていました。
そして2020年、GoogleがAppsheetを買収。
「これだ!」と思いました。業務用途だけでなく、もっと日常的に、ちょっと便利に使えるデータベース。普段使い慣れているExcelやGoogleスプレッドシートが、Appsheetによって誰でも簡単に入力できるアプリに変わり、スマートフォンやタブレットで手軽に使えるようになったのです。
もちろん深く勉強すれば さらに多くの ことができますが、ちょっと使うだけでもその便利さを実感できます。これまでのExcelのように、詳しい人がマクロを組んで、知識のない人は編集すらできなかった という状況はもう過去のものです。Appsheetなら、特別な知識がなくても直感的に操作でき、あの時「仕事がおもしろい!」と言ってくれた女性スタッフたちのように、きっと誰もが仕事の効率化と楽しさを実感できると思います。
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