先日、お客様が使っている富士通製デスクトップパソコンが、Windows Update後のBIOSファームウェア更新が原因で起動不能になるトラブルに見舞われました。
Windows 10環境のデスクトップパソコン・PCワークステーションの一部でWindows Update後に起動できなくなる問題について
公表されている機種に該当していました。富士通からの公式対応策を待つ間、業務が滞ってしまうのは避けたいと思いました。
廃棄予定の同型機が救世主に!
そんな中、幸いにも同じ型番で廃棄予定の富士通製デスクトップパソコンがあり、ハードディスクの交換に踏み切りました。
被害に見舞われたのは、購入時はWindows7、Windows10にアップグレードして、複数台のパソコンをWindows11に徐々に切り替えて行く途中で、最後に残ったパソコンだったのです。
「本当にこれで大丈夫なのか?」「Microsoftのライセンス認証は?」といった不安がよぎりましたが、普段からGoogle Workspaceを活用し、データはGoogleドライブに保存しているので、データ消失の心配はありません。そもそも起動しないのですからダメ元です。あとはWindowsのライセンス認証の問題だけでした。
心配無用!ライセンス認証もクリア、メモリ増強まで
結果として、ライセンス認証は全く問題なくクリアできました!さらに、両方のPCのメモリを合わせて16GBに増強できたので、かなり快適です。
これは、Windowsのデジタルライセンスがマザーボードに紐づいているため、同型番でマザーボードも同じであれば、ハードディスクを交換しても認証が引き継がれる可能性が高いことを示しています。
今後の対策と雑感
しばらくはWindows Updateを一時的に停止し、富士通からの正式なアナウンスや安定したアップデートの提供を待つことにしました。また、Windows 10の延長セキュリティ更新プログラム(ESU)を活用することで、サポート期間を1年間延長し、安心して使い続けられる体制を整えています。
今回の件は、不幸中の幸いでした。
以前はBIOSのアップデートは、PCメーカーのウェブサイトから専用のツールをダウンロードして手動で行うのが一般的でした。しかし、近年ではWindows Updateを介してBIOS(UEFIファームウェア)の自動更新が行われるケースが増えています。
この変化の背景にはいくつかの理由があります。
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セキュリティの強化: BIOSはPCの最も基本的な部分であり、ここに脆弱性があるとシステム全体に大きな影響を与えます。Windows Updateを通じてファームウェアの更新を自動化することで、セキュリティパッチの適用を迅速に行い、ユーザーが手動で更新し忘れるリスクを減らすことができます。
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利便性の向上: ユーザーが個別にメーカーサイトからダウンロードして適用する手間を省き、Windows Updateと同じ流れで更新できるようにすることで、一般ユーザーにとっての利便性が向上します。
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OSとハードウェアの連携強化: Windows OSとハードウェアの連携がより密になり、OS側から直接ファームウェアの管理を行う仕組みが構築されてきました。特にWindows 10以降、この傾向が顕著です。
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メーカー側の対応: PCメーカーも、自社製品のファームウェアをWindows Update経由で配信することで、より多くのユーザーに最新版を適用させることが可能になります。
ただし、今回のケースのように、自動アップデートが原因で予期せぬトラブルが発生することもあります。これは、BIOSのアップデートがPCの根幹に関わる重要な処理であるため、ごく稀に特定のハードウェア構成や既存のファームウェアとの相性問題などが発生することがあるためです。
そのため、Windows UpdateでBIOSの更新が配信されても、すぐに適用せず、しばらく様子を見たり、メーカーからの公式情報を確認したりする慎重な姿勢は、依然として重要だと言えるでしょう。特に法人利用など、安定稼働が最優先される環境では、Windows Updateの一時停止や検証環境での事前確認が推奨されます。
もし同じような状況でお困りの方がいたら、私の経験が役立つ情報になれば幸いです。