【トラブル解決】無線ルータの交換で複合機(FAX・スキャン)が動かなくなった時の対処法

先日、お客様のオフィスで「新しい無線ルータに替えたら、複合機の設定が全部ダメになった!」という緊急対応を行いました。
FAXの自動転送やPCへのスキャン保存ができなくなるという、業務に直結する深刻なトラブルです。
原因はよくある「二重ルーター」によるものでしたが、今回の対応内容を、同じような状況に陥った方向けの解決ガイドとしてまとめます。

 


🚨 発生したトラブルの概要

お客様は、老朽化した無線ルータをBuffalo製の新しい機種「WSR-6000AX8P-MB」に買い替えました。
新しいルータを接続したところ、以下の機能が使えなくなりました。

  1. FAX機能: 受信したFAXが紙に出力されてしまい、パソコンへの自動転送(PC-FAX受信)が機能しない。

  2. スキャン機能: スキャンしたデータをパソコンの共有フォルダに保存する設定がエラーになる。

  3. PC-FAX送信機能: パソコンからFAXを送信しようとするとエラーが発生する。

🔎 なぜ複合機の設定がダメになったのか?

原因は、新しい無線ルータを「ルータモード」のまま接続してしまったことにありました。
元のネットワークには、NTTの光回線終端装置(ONU)と一体になった「NTTフレッツ光対応ルータ」が既に存在していました。

ルータが2台ある状態、これが俗に言う「二重ルーター」です。

項目 既存のルータ(NTT) 新しいルータ(Buffalo)
モード ルータモード ルータモード (誤)
IPアドレス 例:192.168.1.xxx 系のIPアドレスを振っていた 192.168.11.1 になってしまい、IPアドレス体系が変わってしまった

ネットワークの「住所」であるIPアドレス体系が「192.168.1.xxx」から「192.168.11.xxx」に変わってしまったため、IPアドレスで通信相手を特定していた複合機の設定がすべて無効になってしまったのです。


🛠️ 解決ステップ 1:二重ルーターの解消(APモードへの切り替え)

既存のNTTルータのルータ機能を使うため、新しいBuffaloルータのルータ機能をオフにし、単なる「アクセスポイント(Wi-Fi親機)」として動作させる必要があります。
これをAPモード(またはブリッジモード)と言います。

【対応内容】

  1. Buffalo WSR-6000AX8P-MB の背面スイッチを確認します。

  2. 切り替えスイッチを以下の通りに修正しました。

    • AUTO/MANUAL スイッチを[MANUAL]に変更

    • ROUTER/AP/WB スイッチを[AP]に変更

これでルータ機能が無効になり、元のIPアドレス体系に戻りました。

🛠️ 解決ステップ 2:複合機とPCの設定修正

ルータの設定変更後、複合機とパソコンの設定を修正します。

1. 複合機の再起動

ネットワーク設定が戻っても、複合機が古いIPアドレスを記憶している場合があるため、一度主電源をオフにし、数分待ってから入れ直しました。
これにより、複合機は正しいIPアドレスを取得し直し、以下の機能が復旧しました。

  • ✅ FAX自動転送(PC-FAX受信)

  • ✅ スキャン to PC保存

2. PC-FAX 送信設定の修正

複合機が復旧しても、PC-FAXの送信機能だけはエラーのまま残りました。これは、パソコン側のPC-FAXソフトウェア設定で、複合機のIPアドレスやポート番号が新しい環境に合わせて変わっていたためです。

設定画面を開き、変更されてしまっていたIPアドレスとポート番号を、ルータ変更前の元の設定値に手動で修正したところ、無事に送信も復旧しました。

🛠️ 解決ステップ 3:今後のための管理設定

今後のトラブルや設定変更に備え、Buffaloルータの管理画面にいつでもアクセスできるように設定しました。
APモードにすると、ルータの管理用IPアドレスが変わることがあります。

  1. Buffaloの「エアステーション設定ツール」をパソコンにインストール。

  2. このツールを使って、ルータの管理画面にアクセス、IPアドレスを、ネットワーク内で重複しない固定のIPアドレス(例:192.168.1.100など)に設定。

  3. 管理画面のURLをブラウザにブックマーク

これで、ルータのファームウェア更新やWi-Fi設定変更が必要になった際も、スムーズに対応できるようになりました。


💡 まとめ:ルータ交換時のチェックリスト

 

ルータを交換する際は、以下の2点を必ず確認しましょう。

確認事項 内容
1. 二重ルーターの回避 既存のルータがある場合は、新しいルータを必ずAPモード(ブリッジモード)に切り替えて接続する。
2. 固定設定の確認 複合機(FAX、スキャン)、ネットワークプリンタ、NAS(ファイルサーバ)など、IPアドレスを固定している機器の通信設定が影響を受けていないか、必ず動作確認を行う。

今回のトラブル対応が、皆様のネットワーク運用の参考になれば幸いです。

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